空き家 処分

【空き家処分Q&A】どうするのが一番得?空き家放置のリスクと管理費用などまとめ

今、日本では空き家問題が社会現象になっています。先日、知人からその空き家問題に関しての質問を受けました。内容は、「亡き両親が住んでいた実家が放置されていて空き家になっています。相続は私がしています。 管理費や固定資産税が掛かっているので、何とか処分したいです。 どういう所(役所)に、どのような準備(書類)をしていけばよいですか?」という内容です。

今後ますます増えていくであろう空き家問題。今回は、空き家を放置するリスクや処分の方法をお話します。結論を先に言うと、結局は不動産会社に依頼するのが早いです。国や行政も空き家問題に関しては力を入れていますが、現時点では不動産会社には遠く及びません。

目次

1.空き家問題とは
1-1放置することによる犯罪、災害リスク
1-2土地が有効活用できないリスク
1-3資産価値下落リスク

2.空き家問題に対する国の対策
2-1空き家に対して強制撤去が可能に
2-2固定資産税の特例対象からの除外
2-3譲渡所得税の軽減

3.空き家管理の大変さ
3-1管理とは?
3-2管理にかかる費用

4.国や行政には頼れない

5.空き家バンクもまだ整備されていない
5-1なぜ空き家バンクが出来たか?
5-2利用の流れ
5-3空き家バンクの課題

6.慎重に不動産会社を探す必要がある
6-1空き家についてのノウハウ
6-2査定時に確かめる
6-3複数の会社に査定依頼をしよう

7.まとめ

1.空き家問題とは

1.空き家問題とは

そもそも空き家問題とは何でしょうか?この相談者の状態がまさに空き家問題です。親から相続した家を処分しないまま放置している現象が、今非常に多いのです。日本全国で800万戸程度の空き家があると言われています。空き家があると様々なリスクがあるので、国としても早急に改善を図りたいのです。

1-1放置することによる犯罪、災害リスク

まず空き家を放置すると、場合よっては何年も足を踏み入れないケースもあります。そうなると、その家へ第三者が不法占拠したり、盗難目的で侵入したり犯罪のリスクが増します。また、土地だけ放置した場合でも有害ものが不法投棄され、異臭が近所に立ち込める危険性もあります。更に放火や倒壊などの災害リスクにも繋がってくるのです。

その空き家の所有者だけの問題であればまだ良いですが、盗難目的の犯罪者が近隣住居にも侵入したり、火災が起きて近隣住居まで燃え移ったりという危険もあります。このように、空き家問題はその所有者だけでなく、近隣にも迷惑をかける恐れがあるのです。

1-2土地が有効活用できないリスク

空き家を放置するという事は、本来そこに住むべき人が住めず、建てるべき施設が建てられないという事です。土地が広ければマンションを建てることによって、不動産市場にも良い影響を与えますし、商業施設を建てれば周辺住民の利便性が増します。
今では空き家は800万戸もありますので、それを上手く活用できれば経済効果はかなり期待できます。

1-3資産価値下落リスク

空き家があると周辺の資産価値が下落するリスクがあります。例えば、綺麗な住宅街に築40年を超えるぼろぼろの戸建てがあったらどうでしょうか?単純に景観が阻害されますし、先ほど言ったような犯罪・災害リスクがあります。

そうなるとその住宅街自体の評価が下がり、中古物件の価格が下がってしまうリスクがあります。中古不動産価格は、物件が売れた金額である「成約事例」で価格が上下します。そのため、一つでも周辺に大きな悪影響を与える住居があると、そのエリア一帯の資産価値にも影響が出てしまいます。

2.空き家問題に対する国の対策

このように空き家が放置されるという事は様々なリスクが潜んでいます。そのため、空き家問題に関して、国も本格的に対策を立て始めました。平成26年に「空き家等対策の推進に関する特別措置法(以下、空き家対策法)」が成立しました。これは、先ほどお話したような様々なリスクのある空き家を減少させることや、周辺住民の保護を目的としています。

2-1空き家に対して強制撤去が可能に

この対策法で一番大きな影響があるのは、空き家の処分を第三者が行えるという点です。災害のリスクがある古い戸建てや景観を著しく阻害する建物に対しては、強制的に取り壊しが出来るようになります。勿論、いきなり取り壊すワケではなく、指導や催告など段階を経ても対応しなかった時に強制発動が可能です。
今回のケースも最悪の場合、行政により強制的に取り壊される危険性があります。勿論、取り壊しにかかった費用は所有者が負担することになります。

2-2固定資産税の特例対象からの除外

本来土地の上に建物があると固定資産税が軽減されていました。空き家の維持費となる固定資産税は以下の通り定められています。

・土地(建物がない更地):固定資産税評価額×1.4%
・土地(建物あり。住戸1戸200u以下の部分):固定資産税評価額×1/6×1.4%
・土地(建物あり。住戸1戸200u超の部分) :固定資産税評価額×1/3×1.4%

このように土地の上に建物があるだけで税金が安くなっています。例えば2,000万円の評価額の土地であれば、建物がない更地であれば年間28万円の固定資産税がかかります。しかし、建物があれば最大で評価額が1/6になりますので、年間4.6万円程度まで税金が下がるのです。
この軽減措置があるため、空き家を取り壊さずに放置している人もいました。

しかし、今回の空き家対策法が出来たことによりルールが変わりました。前項のように自分が所有している空き家に対する改善勧告があると、上記のような固定資産税の優遇はなくなります。つまり、管理が面倒(詳細は後述します)だからと言って、管理をせずに放置しておくと行政に目を付けられ対応を指導されます。その指導が勧告のレベルまで行くと固定資産税の優遇がなくなりますので、負担額が上がってしまうのです。勿論、今回相談してきた方も例外ではありません。

2-3譲渡所得税の軽減

今までも、家を売却して利益が出たら「3,000万円までは非課税」という軽減措置はありました。しかし、その軽減が適用されるのは、あくまで「居住用不動産」に対してのみでした。しかし、新たに2015年4月から相続した空き家を売却する場合でもこの特例を受けられるようになりました。

ただし、この特例を受けるには、いくつかの条件※1があります。簡単に言うと、相続した旧耐震基準の家屋を、耐震改修して売却するか、解体し更地にして売却する場合に適用されます。旧耐震と言うのが鍵で、「倒壊のリスクのある家屋は改修するか解体しましょう」という意図があります。

※1詳細は国税庁ホームページをご覧ください。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3314.htm

3.空き家管理の大変さ

今回の相談者の方もそうですが、空き家の管理は非常に大変です。ただ、特に木造一戸建ては劣化が早いので定期的に管理をしないと前項のように行政指導が入るほど劣化してしまいます。

3-1管理とは?

では具体期にどのような管理をするのでしょうか?以下が代表的な管理です。

・通風,換気
・通水
・雨漏り確認 
・清掃
・庭木確認
・外壁や雨樋などの外部確認
・近隣住戸の確認
・ポスト整理
・管理結果の報告

場所や季節によっては、積雪状況の確認や除雪、凍結防止など、これ以上の管理が必要になります。この作業を、出来れば2週間に一度、少なくとも1ヵ月に1度の頻度で行う必要があります。

3-2管理にかかる費用

見ての通り、管理はかなり大変な作業になります。相続した物件が住んでいる場所の近くにあれば良いですが、遠方にある場合には不動産会社に管理を委託する必要があります。費用は前項でお話した内容を、どの程度実施するかによって変わってきます。空き家管理費用は概ね月額5,000円〜10,000円程度と思ってください。

相談者の方は電車で20分ほどの場所に物件があるのですが、それでも月に1回家に行き、換気をしたり掃除をしたりすることは非常に面倒であると言っていました。この管理の手間も早く処分したいという思いに繋がったようです。

4.国や行政には頼れない

先ほど言ったように空き家対策法が作られてから、国も本格的に空き家減少に力を入れています。空き家の取り壊し勧告や、税金の優遇措置撤廃以外にも色々な取り組みが始まりました。例えば、役所でも空き家相談の総合窓口を設け一般的な悩み相談に応じます。

しかし、例えば今回の相談者が役所の窓口に相談したらどのような対応をされるでしょうか?恐らく、不動産の売却の仕方や、改築、取り壊すときの補助金の説明程度に留まります。空き家対策法自体が出来たばかりの法令であり、役所に元々不動産のノウハウはありません。そのため、いくら役所に窓口が出来たからと言って、過度な期待は禁物です。

5.空き家バンクもまだ整備されていない

空き家バンクとは、自治体や自治体から委託を受けた団体が運用している、空き家の所有者と利用希望者をマッチングするサービスです。不動産会社の仲介業務をイメージすると分かり易いと思います。不動産会社との大きな違いは、空き家バンクは営利目的ではないので手数料はかかりません。

5-1なぜ空き家バンクが出来たか?

そもそも不動産会社があるから空き家バンクは不要と思った人もいると思います。空き家バンクが出来た背景は二点あります。一点目は先ほど言った費用面です。気軽に無料で空き家を活用してくれる人が探せますので、空き家を処分する一歩目のハードルとしては非常に低いのが特徴です。また、不動産会社だとどうしても営利目的になるため、ボロボロの建物や資産価値の低い土地などはあまり本腰を入れて仲介しないという理由が二点目です。
空き家バンクを作る事で、まずは「空き家をどうにしよう」と思ってもらい、実際に行動に移してもらう事が最大の狙いです。

5-2利用の流れ

空き家バンクの利用の流れは以下の通りです。

・空き家の所有者:自治体に行き※2、空き家情報を伝え登録する(謄本を持っていくのがベスト)
・自治体:登録された情報を元に、該当する利用希望者に空き家を紹介する
・利用希望者:希望する空き家の条件を自治体に伝え、連絡を待つ

あくまで、自治体は空き家の所有者と利用希望者をマッチングさせるだけなので、交渉や契約の手助けまではしてくれません。当事者の間で交渉をして契約行為をするという流れになります。宅建免許がなくても、自己所有の不動産であれば売却することは可能ですが、プロではないので売主も買主も不安です。そのため、通常はマッチングした後に不動産会社が入り、交渉や契約などを進めることが多いです。

※2多くの団体が空き家バンクのサービスを展開しているので、インターネットで検索をすれば連絡先が掲載されています。

5-3空き家バンクの課題

空き家バンクという名称が世の中に定着していない事からも分かるように、空き家バンクの利用率は低いです。これは、結局自治体が行う事は不動産会社には及ばないからです。情報量も不動産会社の方が圧倒的に多いですし、交渉や契約ごとに関して自治体は一切関与しないため、結局は不動産会社に依頼することになります。

空き家バンクを使用しても大抵は不動産会社を挟みますので、仲介手数料がかからないというメリットはなくなります。つまり、現時点では、自治体や空き家バンクに相談するよりも、今まで通り不動産会社に依頼をして売却をした方が良いという事になります。

6.慎重に不動産会社を探す必要がある

6.慎重に不動産会社を探す必要がある

冒頭でも言いましたが、今回の相談者には、「国や行政に依頼しても大きな成果は期待できずに時間だけかかる。不動産会社に仲介を依頼するのがベスト」という回答をしました。

6-1空き家についてのノウハウ

空き家になってしまう不動産は、今回の相談と同様、親御さんが住んでいた古い一軒家を相続するケースが多いです。そうなると建物価値は0円になり(大抵の不動産会社で築20年の木造建物は価値が0円になります)、土地だけの売買になります。

つまり、その一戸建を購入する人は、購入した後建物を解体して新たに建て直すか、改修工事に入ります。そうなると、家の解体費用の見積もりや、改修時の見積もりを把握していないと、購入検討者の検討度合いが上がりません。そのため、空き家を仲介する会社はその辺りのノウハウが必要になります。

6-2査定時に確かめる

前項のようなノウハウがある会社かどうかは査定時に分かります。査定額を提示した時に、解体費用の見積もりや、改修費用の見積もりがあるかどうかです。見積もりと言ってもあくまで概算で、同じような規模の解体実績や、改修実績程度の資料で構いません。そのノウハウがないと、ただでさえ印象の悪い古い戸建てを売ることは難しいです。

6-3複数の会社に査定依頼をしよう

このような不動産会社と出会うために、なるべく多くの会社に査定依頼をしましょう。一社一社に電話をしたり訪問したりするのは手間がかかるので、イエウール※3という一括査定サイトを利用すると良いです。特に相談者の方は不動産の事は全く分からない方でしたので、業界大手であるイエウールを紹介しました。

イエウールは参画不動産会社が多いという利点があります。ただ、それ以上に、マンション、戸建て、土地活用など幅広い不動産事業に対応した会社が揃っているという点が今回は魅力的でした。なぜなら、幅広い事業を行っている不動産会社の方が、先ほど言った解体費用や改修費用などのノウハウがあるからです。

今回のケースでは、通常の不動産売却以上に、「不動産会社の選定」が高く早く売る鍵を握ります。時間はかかるかもしれませんが、慎重に不動産会社を見極めましょう。

※3イエウール
https://ieul.jp/

7.まとめ

空き家対策法が成立してから、本来ノータッチであった不動産の処分を役所が関わってくれるようになりました。ただ、やはり営利目的ではない点と、不動産は専門性が高いという点から、国や行政には限界があります。そのため、空き家の処分は最初から不動産会社に依頼する方が良いです。空き家バンクなども確かにありますが、手間と時間をかけた割には良い成果が出ない事が多いです。

※2016年5月執筆。記載の税率や控除、優遇などは時期によって変動します。詳細は国税庁ホームページをご覧ください。

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